【育休と何が違うの?】意外と知らない産休の制度と休業中の補償についてご紹介【妊娠12週以降が対象】

マタニティ画像 02.妊娠・出産
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待ちに待った妊娠、初めてのことだらけで戸惑う日々になりがちですよね。
育休・産休という言葉は当然知っているものの、いざ自分が取得する立場になったら、両者の細かい制度や違いまでは知らない、という方も多いのではないでしょうか。

本日は、産休の制度についてご紹介していきます。

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産休の基礎知識

産休ってなに?

産前・産後休業制度」の略で、子どもを産む母親の健康面を配慮して定められた制度のことを言い、「労働基準法」の中の「母性保護規定」の一部として定められています。

①使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあたつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
②使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。
~後略~

法令検索「労働基準法 第六章の二 妊産婦等 第六十五条(産前産後)」

出産は女性にとって心身共に大きな負担がかかるので、会社はすぐに職場に復帰させるような無理をさせてはいけません、と言う決まりですね。

男性も取得できるの?

残念ながら、男性は取得できません。
前述のとおり、産休は「出産する母親の健康面を配慮するため」の制度ですので、男性や里親になる方は対象になりません。
男性が取得できるのは産休ではなく、育休(育児休業)となりますので、気になる方は「【男性も取得可能】詳しく知りたい!育休の制度と休業中の補償について【夫婦で育休を取ろう】」をご参照ください。

産休の対象となる人

基本的に会社に勤める、妊娠12週を経過した妊産婦であれば、全員が対象です。(パートやアルバイトも含みます)

妊産婦でも、産休の対象外になる人がいる?

産休の制度は労働者を守るための「労働基準法」で定められている制度ですので、「労働者」にあたらない人は対象外となります。
具体的には、個人事業主として働くフリーランスや、自分で起業する方は対象外となります。
上述の法律文「使用者は~女性を就業させてはならない」と言う記載を見ても、会社が社員である女性に対して働かせてはいけません、という書き方になっています。
個人事業主や起業者は「使用者」に従う労働者ではありませんので、対象外になるということです。

この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業または事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

法令検索「労働基準法 第一章 総則(定義) 第九条」

会社員と違って自分の仕事量は自分で調整できるので、あえて対象とする必要もないという事なのでしょう。

産休の期間

基本的には、次のとおりとなります。
産前休業:出産予定日の6週間前~出産した日(双子など多胎の場合は出産予定日の14週間前~出産日)
産後休業:出産した日の翌日~8週間

【例.2022年10月10日が出産予定の場合】
産前休業:2022年8月30日~2022年10月10日
産後休業:2022年10月11日~2022年12月5日

3か月半も休めるのはありがたいですね。

産休は絶対に取得しないといけない?

産前休業と産後休業で扱いが異なります。

産後休業の場合は、妊産婦の希望に関わらず、必ず取得する必要があります
(労働基準法により、会社が妊産婦を就業させることを禁止されていますので、会社からの許可が下りないという方が正しいかもしれません)
ただし期間については、妊産婦が希望し、医師が問題ないと認めた場合に限り6週間以降復帰することが可能です。

産前休業の場合は、妊産婦が希望しなければ取得する必要はありません
また、2週間だけ取得する、など、日数についても妊産婦が決められます。

こんなときはどうなるの?

出産予定日になっても産まれなかった場合はどうなる?

出産日が遅れた場合、実際の出産日までは遅れた日数も産前休業として扱われます

【例.2022年10月10日が出産予定で、実際は2022年10月11日に出産した場合
産前休業:2022年8月30日~2022年10月11日
産後休業:2022年10月12日~2022年12月5日

予定よりも早く産まれた場合はどうなる?

出産日が早まった場合、産前休業となる日数が短くなります。
(少し損した気持ちになりますね)

【例.2022年10月10日が出産予定で、実際は2022年10月9日に出産した場合
産前休業:2022年8月30日~2022年10月9日
産後休業:2022年10月10日~2022年12月6日

流産・死産になってしまった場合

残念ながら、妊娠の過程で予期せず流産や死産となってしまうケースがあります。
もしくは、何かしらの理由により人工中絶を選択する人もいるでしょう。
これらの場合、妊娠4か月(12週1日)以降に発生したものに関しては、すべて産後休業の取得対象となります。

(出産とは)妊娠4か月以上の分娩とし、生産のみならず死産を含む

昭和23.12.23 基発第1885号

また、後述の補償(出産育児一時金、出産手当金)も対象となりますので、万一このようなケースになってしまった場合、忘れずに申請しましょう。

休業中の補償について

お金の画像

産休中は、会社からの給与支払いがありません。
ただし、健康保険から2種類の手当と、保険料の免除がありますので安心してください。

出産育児一時金

1児につき42万円(産科医療補償制度加算対象出産でないときは40万4千円)が支給されます。
産院側が健康保険組合に直接請求し、自動的に出産費用に充ててくれる「直接支払制度」を使えば、自分や会社が申請する必要がなくなるので助かりますね。

加入している健康保険組合によっては、「付加金」という形で、上記の金額にプラスしてさらに一時金をもらえるケースもあります。
(私の会社では健康保険組合の被保険者本人が出産した場合は5万円がもらえます)
ご自身が加入している健康保険組合の制度を是非チェックしてみてください。

ちなみに出産育児一時金については、労働者ではない個人事業主やフリーランスでも、健康保険に加入していれば支給されます。

出産手当金

産前・産後休業の期間中、原則賃金の3分の2が支給されます。
育休中の手当である「育児休業給付金」も、育児休業取得開始から6か月は賃金の約3分の2(6か月以降は2分の1)が支給されますが、こちらは上限額が設定されているため、月収が約45万円以上ある人は満額もらえない制度になっています。
一方、出産手当金は基本的に上限が設けられていないようなので、とても助かりますね!

保険料の免除

産前・産後休業中、育児休業中は次の保険料の支払いが免除されます。

  • 社会保険料(健康保険・厚生年金保険)
  • 雇用保険料

参照:厚生労働省「産前・産後休業中、育児休業中の経済的支援

保険料の支払い免除、いくらぐらい?

対象となる方の年収や、各事業所によっても異なりますので、詳しくは自身の給与明細で確認しましょう。
健康保険料、厚生年金保険料は人によっては大きい額の支払いになっているかと思いますので、それが免除になるだけでもだいぶ生活が楽になるかと思います。
(ちなみに私は社会保険料と雇用保険料、あわせて毎月約9万円を引かれていました・・・)

まとめ

産前・産後休業は、母体の健康を損なわないための制度です。
「あまり長く休んでは会社に申し訳ない・・」などと思わず、しっかり取得し、自分を労りましょう!

今回は産休についてのお話しでしたが、育休についてもご紹介していますので、気になる方は是非ご覧ください。
【男性も取得可能】詳しく知りたい!育休の制度と休業中の補償について【夫婦で育休を取ろう】

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