【4BCで妊娠できる?】胚盤胞グレード別の妊娠率・流産率データをご紹介【体外受精/顕微授精】

妊娠画像 01.不妊治療・妊活
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2022年4月から始まった不妊治療の保険適用により、体外受精を検討・選択する方は増えているのではないでしょうか。

体外受精で受精・培養した胚盤胞は、どのグレードになるかで妊娠率や流産率が変わります。
また、年齢によっても差が出てきます。

今回は、グレード別の妊娠率・流産率についてご紹介します。

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体外受精の基礎知識

体外受精ってなに?

精子と卵子を採取したうえで体外で受精させ(シャーレ上で受精を促すなど)、受精卵として子宮に戻して妊娠を図る技術のことを言います。

基本的には1回で多くの卵子を採取するため、毎日の薬や注射など、女性に負担のかかる治療を行っていきます。

体外受精のおおまかな流れ

  1. 卵巣刺激(排卵誘発)
    通常卵子は28日ごとに1個しか成熟しません。
    体外受精の際は可能性を少しでも増やすため、複数の卵子が育つように飲み薬注射で誘発を行っていきます。
  2. 採卵・採精
    卵子が良い具合に成長してきたタイミングで、病院にて卵子を採取します。
    また、採取後はすぐに受精をさせられるよう、採卵日当日に夫に精子を用意してもらい、病院へ持っていきます。
  3. 受精
    採卵した卵子と、元気のある精子のみを同じシャーレに入れ、受精を促します。
  4. 胚培養
    受精した卵が子宮に戻して着床できる状態まで成長(細胞分裂)するよう、培養士さんが培養します。
  5. 胚移植
    培養された卵(成長段階により、初期胚胚盤胞の2種類があります)を子宮に戻します。
  6. 妊娠判定
    胚移植後9日~2週間程度で、血液検査もしくは尿検査にて妊娠判定を行います。

体外受精で生まれた赤ちゃんってどのぐらいいるの?

顕微授精含めた数値ですが、厚生労働省がデータを出しています。
2019年の実績では、日本国内で生まれた赤ちゃんは865,239人
うち、体外受精・顕微授精で生まれた赤ちゃんは60,598人でした。
実に全体の7%もの赤ちゃんが体外受精もしくは顕微授精で生まれており、その比率は年々上昇しています。

厚生労働省 令和4年3月25日 『不妊治療について 体外受精・顕微授精の実施数・出生児数について 2.体外受精・顕微授精による出生児数の推移』より

~2023/10/13追記~
2023年8月末に、日本産婦人科学会から最新の体外受精での出生児数が発表されました。
2021年に実施された体外受精で生まれた赤ちゃんの数は6万9797人で、全体(811,604人)の8.6%にあたり、約11.6人に1人の割合で体外受精の赤ちゃんがいるということになります。
10%を超える日も近いかもしれませんね。

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グレード別の妊娠率・流産率

グレード別の妊娠率について

自分の胚盤胞のグレードだと妊娠率・流産率はどの程度か、気になりますよね。
しかし、探してみると意外とグレード別のデータを公表している病院が少なかったり、分母が少なすぎて参考にならなかったりします。

私がいろいろと調べた結果、日本IVF学会の学会誌での論文がわかりやすく、ある程度母数があって信頼できそうでしたのでご紹介します。

【グレード別の臨床妊娠率】

グレード別の臨床妊娠率
※日本IVF学会雑誌2018 Vol.21 No.1 『胚盤胞のグレードと発生段階が臨床妊娠率と流産率に与える影響について』より

4AAグレードの妊娠率が63.5%ともっとも高く、移植したら半数以上は妊娠するという驚異の結果に。
あまり質が良いとは言えない4BCや4CCグレードでも、35%を超える確率で妊娠できることがわかりました。

ちなみに私は35歳のときに、Day6 4BC胚盤胞の移植で妊娠することができました。
興味がある方はこちらの記事もご覧ください。

【グレード別の流産率】

グレード別の流産率
※日本IVF学会雑誌2018 Vol.21 No.1 『胚盤胞のグレードと発生段階が臨床妊娠率と流産率に与える影響について』より

流産率についてはいずれもグレードごとに大きな差はなく、20%前後であるということがわかりますね。
(3ACなどは流産率が突出していますが、分母が小さいので参考にはならないかと思います)

データの定義

調査対象:2011年1月~2016年12月に英ウィメンズクリニックにて凍結胚盤胞を融解し、1個移植を行った方
臨床妊娠:超音波検査によって、妊娠5~6週で胎嚢が確認できたものを臨床妊娠としています
流産:胎嚢確認後、英ウィメンズクリニックでの経過観察において、心拍が確認できなかった症例、また、1度は心拍が確認できたものの、その後心拍が消失した症例を流産としています

日本IVF学会とは

生殖補助医療である体外受精法(In Vitro Fertilization(以下「IVF」という。))及びその関連領域に関する研究の発展、 知識の交流を図り、もって医学の進歩に寄与することを目的として設立された学会とのことです。

不妊治療に関連する領域の学会は他にもいくつも存在しますが、学会誌として一般人でも研究論文が読めるようになっているのは、私が調べた限りだとこの日本IVF学会のみでした。

今回ご紹介したデータ以外でも、興味深い論文がたくさんありましたので、機会があればご紹介できればと思います。
論文を読むのが苦痛でない方は、是非ご自身でも一度読んでみてはいかがでしょうか。

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まとめ

グレードが良いとされている4AA、4AB、4AC、4BAなどは、いずれも妊娠率が50%を超えることがわかりました。
また、あまりグレードが良くないと言われている4BCや4CCの胚盤胞でも、妊娠率が35%以上あることがわかりました。
タイミング法や人工授精の1回あたりの妊娠率は10%に満たないということを考えると、体外受精はどのグレードの胚盤胞だったとしても、非常に高確率で妊娠できるということがお分かりいただけたのではないかと思います。

採卵をしたものの、良好なグレードの胚盤胞ができずに移植に進むか悩んでいる・・・という方もいらっしゃるかと思いますが、決して妊娠率が低いものではありませんので、この記事を読むことで少しでも前向きに希望を持っていただけたら幸いです。

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